教科の再編

技術・家庭科を分割し、技術科と家庭科に分け、技術科を情報・技術科(仮称)にするという。

そうすると、独立した教科になるので、国社数理英と音美体を含めて、評定を出す教科は10教科になるわけですね。技術と家庭は、得手不得手の傾向が異なるので、別教科にするのに反対する意見は少ないでしょう。強引にひとつの教科をして扱ってきましたが、成績をつけること以外は、別教科の扱い。異分野のものを合算して成績を出しています。

教科再編の波紋

さて、10教科になると、ある程度、学習塾などの対応で成績を上げることができる5教科となかなかそうはならない実技教科のバランスが変化することになります。「主要五教科」という言葉が学習塾を中心に使われています。入試の国社数理英が重要だという考え方です。生徒自身がこの言葉を受け止めてしまうと、実技教科を軽視してしまい、受験する段階で後悔することになるのです。それがさらに促進されてしまいます。

そうなると次に考えることは、音楽科と美術科を統合して、芸術科としてしまうことです。高校では、実際に芸術科として、音楽・美術・書道などがあるので、突拍子もないことではないでしょう。AIの登場で、次世代を生きる人間を育てるというのであれば、AIが進出して職業としては消えていく音楽・美術は縮小するのもやむなしです。

拙速なAI教育への疑問

なにより、そもそもAIのことを中学校の授業で扱うというのは、とても違和感があります。日進月歩で進化している最中なので、新学習指導要領がスタートするころには、AIの状況はガラッと変わっているはずです。

現状の技術分野でも、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」や「センサーなどを用いた計測・制御システムのプログラミング」という実際のIT現場では役に立ちそうもないことが扱う内容の主軸となっています。

AIを中学校の学習内容にするには、どうしたらいいのか。AI活用は言語化だと思っています。言語化は、数学の文章問題や国語や英語を学ぶことで力がつくと思っています。「問いを立てる力」は国語や社会の読解・探究活動で、「論理的思考力」は数学や理科で、それぞれ中核的に扱われています。AIを題材に学習する意味がわかりません。AIを使いこなす上で、自分の意図を正確な言葉で表現する力は不可欠です。

AIの特性も日進月歩なので、教科書の内容にいれるのは非常に困難だと思います。学習指導要領の改訂サイクル(約10年に一度)とAIの進化スピードの乖離は、教育現場が直面する極めて深刻な問題です。

「キーワード先行」の教育が抱える問題

学習指導要領をつくるための専門家会議では、なにか新しいキーワードを掲げて、キーワードから組み立てようとしているように感じます。前回のプログラミング教育もそうでした。内容が後手になっています。今回も今話題のAIというキーワードを使っているだけではないでしょうか?前回のプログラミング教育のように、理想だけが先行し、現場は「お手上げ」のまま放置される、という事態を招いてしまいます。

いろいろな業者がそれっぽい教材を開発し、教材として存在しているから、学習指導要領に書かれていることはちゃんとやりましたよ、という足跡作りはできます。でも「それが生徒の本当の学びや能力の育成につながっているかは、まったく別の問題だ」ということです。学習指導要領という「お題」に対して、業者提供の教材を使うことで、学校も教育委員会も「指導要領に沿った教育は実施した」という形式を整えることができます。

本当に重要なのは、そのキーワードを「どう教育に落とし込み、現場で実践可能な形にするか」です。その具体的な設計がなければ、今回もまた、現場を混乱させるだけで終わってしまうのではないか。

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